ソレノイドは基本的に通電した時に可動鉄芯(プランジャー)が引き込まれる動作をします。 復帰させるには復帰用のスプリング等復帰負荷が必要です。 復帰の主な要素としては以下の4つが上げられます。 (1) 電流 (2) ストローク (3) 残留吸着力(残留磁気) (4) 復帰負荷 それぞれについて説明致します。 (1) 電流 1、電流が0になっていることを確認ください。 +-方向は関係なく、微少電流でもソレノイドの吸着力が復帰負荷より大きい場合があります。 2、ソレノイドは電流をOFFにしても、コイルが電流変化により逆起電力を発生し電流の過渡現象になります。 数msから数十msの間電流は0になりません。この間は吸着力があります、復帰負荷より吸着力が大きいと 復帰しません。 (2) ストローク 可動鉄芯(プランジャー)は復帰に移動時間がかかります、 この間に次の吸引の電流が流れると復帰しないまま吸引動作になります。 (3) 残留吸着力(残留磁気) ソレノイドを構成しています、鉄材料部品は電流が0になっても磁気が少し残ります(=残留磁気)。 この磁気により吸着力が発生します(=残留吸着力)。 この残留吸着力より復帰負荷が小さいと復帰しません。 また、ソレノイドを取り付けている部材が鉄ですと、 その残留磁気も影響して残留吸着力が大きくなる場合がありますので、ご注意ください。 (4) 復帰負荷 復帰負荷は(1)(3)および下記①②に対して大きくなければなりません。 ① ソレノイドの姿勢によっては水平動作時の可動鉄芯とガイドの摩擦及びメカの摩擦。 ② 可動鉄芯重量方向と復帰負荷方向が違い復帰負荷を小さくするソレノイド姿勢やメカ取付。 |
オープンフレームソレノイドは吸着時に可動鉄芯と固定鉄芯が当たり衝撃音を発生します。 ご使用上、この衝撃音を減らす為にゴムを挟んだ構造にした消音タイプを多く生産しています。 この構造ですが、固定鉄芯と可動鉄芯間が直接当たらないように約1mmの空隙を設けています。 従って、吸引力特性表のストロークより1mm大きい所の値を吸引力として読み取ってください。 |
カタログのオープンフレームソレノイドは絶縁階級A種105℃の仕様です。 連続通電時に周囲温度40℃、温度上昇値65K以下になるようなコイル仕様にしています。 |
キープソレノイドの復帰電圧は永久磁石の磁力に対して、 コイルに逆励磁の磁力をが発生するように通電します。 通電の大きさは、弱いと永久磁石の磁力が強く復旧しません。 また強いと永久磁石の磁力を打ち消しますが強すぎて、さらにコイルの磁力で吸着力が発生してしまい復帰しません。 永久磁石の磁力をコイルの磁力が打ち消して、残った磁力による吸着力より復帰負荷が大きい時に復帰する範囲の電圧です。 |
ソレノイドを作動させるには基本的に通電方向に関係なく、通電されれば作動致します。 但し、下記についてご注意をお願い致します。 (1)高温高湿の場合 高温高湿の雰囲気でケース(ヨーク)をアース接続して使用する場合は電源のプラス+側をアースして下さい。 マイナス-をアースする場合にはプラス+側にスイッチを入れて下さい。 電触によりコイルが断線することがありますのでご注意して下さい。 (2)磁気の影響が心配される場合 ソレノイドに通電しますと磁気が発生します。 磁気シールドを設けるか、磁気の影響が心配される部品の近くで使用しないことがよいのですが、ご使用上で どうしても対策できない時は、通電方向を指定して磁気的に影響の少ない方向にすることも可能です。 ご相談ください。 (3)キープソレノイドの場合 キープソレノイドについては、内蔵部品の永久磁石の磁極方向で決まってきます。 ご相談ください。 |
ソレノイドは使用上、通電しますと温度上昇します。 吸引力測定しようとすると通電状況が変わって温度も変化してしまう為に、温度上昇時の吸引力測定は困難です。 そこでA換算電圧を以下により算出し、ソレノイドの温度上昇時の吸引力の代替えに、 常温でA換算電圧を印加して吸引力測定致します。 (1)A換算電圧の考え方 ソレノイドの吸引力Fはコイル巻数Nと電流Iの積N・Iの二乗に比例して、 ストロークLの二乗に反比例するとの理論式があります。
この式に温度変化の要素はないです。 つまり、電流値が同じなら温度が変わっても吸引力は同じということになります。 そこで温度上昇時の電流値を算出して、吸引力測定時に常温で同じ値の電流を流せる電圧(A換算電圧)かければ、 温度上昇時の吸引力と同じ値が得られることになります。 (2)A換算電圧の算出方法 ① ソレノイドをメカへ取り付けて実際に温度上昇させ、その時の電流値又は抵抗値を測定する。 ② ①の方法はメカがないとできません、 また使用条件範囲MAX時(電源電圧範囲最大値・周囲温度最大値等)の状況での試験は通常困難です。 そこで、ソレノイド単品で使用条件範囲MAX時の温度上昇値を測定又は算出して、 そこから以下、A換算電圧を計算します。
E = I×Rdc20 = 180mA×100Ω = 18.0V |
ソレノイドの吸引動作時間は主に電流・負荷・ストロークの仕様によります。 テクニカルノートの動作時間試験方法をご参照ください。 電流・負荷・ストロークは個々のソレノイド仕様により変わりますので、吸引動作時間もその時の仕様 で試験測定しなければなりませんが、最低吸引動作時間・最低印加時間は300msを目安にご検討 をお願い致します。 |
オープンソレノイドは動作回数が多くなりますと、可動鉄芯の摩耗により吸引力・吸着力及び吸引動作時間
の低下を生じます。可動鉄芯の表面処理を変えることでこの摩耗を減少させることが可能です。 可動鉄芯の表面処理の種類及び動作回数の目安は、以下の通りです。
但し、動作回数は可動鉄芯の表面処理以外にガイドパイプの材質や表面処理、使用条件(ストローク・ 負荷等)、環境条件(温度・湿度等)、寸法に大きく依存しますので、個々の仕様での動作試験が必要です。 |
ソレノイドに使用されるマグネッットワイヤーの寿命を判定する場合は、実際の使用条件に即した試験で
判定することが望ましいのですが、試験方法及び判定基準には検討を要します。 各マグネットワイヤーメーカーで耐熱寿命表が掲載されていますので、そちらのカタログをご参照ください。 |
ソレノイドの温度上昇飽和はソレノイドの発熱量とソレノイド及び取付メカの放熱量が均衡した時に飽和
致します。ソレノイドの発熱量は入力電力及び使用定格によります。 また、放熱量はソレノイドの 放熱表面積・ソレノイド取付状態・取付メカの放熱表面積・周囲条件(温度・風)等によります。 実際は、これらの仕様及び使用条件で試験する必要があります。但し、弊社ソレノイドTDS-10A以下の 大きさの単品で連続通電の場合は2時間前後の試験で飽和致します。 |
弊社のソレノイドはDCソレノイドです。交流電圧波形が0の時には吸引力が0になりますのでご使用でき
ません。 但し、全波整流回路を電源側またはソレノイド側(条件あり)に設けることで使用できます。 ご相談ください。 |
弊社では、ブラケットやレバーをソレノイドに組立たユニットASSYを10数年以上に亘って、生産納入 している実績がございます。 |