使用上の注意と事故の可能性 | 対策 | |
過大 | 吸引力の増大により、可動・固定鉄芯の衝撃が大きくなり、可動・固定鉄芯が変化して、保持力・寿命が変わる。 | 電圧変動に注意し、余裕のあるものを使用する。 |
温度上昇の増大により、吸引力・保持力が減少する。 | ||
温度上昇の増大により、コイルの破損・焼損やリード線等が破損する。 | ||
低下 | 吸引力減少、吸引不能や応答時間の遅延、応答不能となる。 |
使用上の注意と事故の可能性 | 対策 | |
制御部品破損 | 電流の多く流れるソレノイドでは制御接点の溶着が多い。 | リレー・スイッチ等の容量性能等はよく注意し、ソレノイドに温度ヒューズ、サーモスイッチ等を組み込む。 |
サージ電圧 | サージ電圧の高いソレノイドでは、整流素子やスイッチの破損が起こる。 | ダイオード、サージアブソーバ等の保護素子を入れる。 |
使用上の注意と事故の可能性 | 対策 | |
極端な軽負荷 | 可動鉄芯・固定鉄芯の変化が大きくなり寿命が短くなる。 | 吸引力特性によるソレノイドの選定 |
保持力が変化し、応答時間も遅くなる。 | ||
重負荷 | 負荷を吸引力特性とあまり近づけると電圧変化や温度上昇によって吸引不能や応答時間の遅延や追従しなくなる。 | |
復帰負荷 | 復帰負荷は設定値以上でないと残留磁気等の影響で復帰しない。 | ソレノイドによる残留磁気のチェック |
使用上の注意と事故の可能性 | 対策 | |
本体の取付 | シャーシー・取付アングル等の負荷のかかる方向と可動鉄芯方向の一致 | 可動鉄芯の移動方向と負荷のかかる方向が一致しない場合はリンク・レバー等でその方向に近づける。 |
負荷への取付 | 可動鉄芯の運動方向と負荷の運動方向の一致、負荷の偏芯、運動方向の偏芯は寿命、性能等の劣化につながる。 | |
可動鉄芯の移動軸に対する横方向、斜め方向からの荷重はなるべくさける。 | 避けえない場合は、ガイド等で可動鉄芯の移動をさまたげない様にする。 | |
連結金具と連結 | リンク、取付金具等に取り付ける時は可動鉄芯の中心に荷重がかかる様にする。偏芯の原因となる。 | カラー・スペーサー等を用いる。 |
連結金具はソレノイドの性能により材質・強度に注意する。 | ||
連結ピン | 連結ピンはあまりすきまのないものを使用する。 | 材質の柔らかいもの、ネジ等は用いない。 |
太さ・材質・強度には特に注意する。 | ||
磁気ショート | 取付部の材料によって吸引力の減少や復帰不良が発生。 | 材料の変更(非磁性材)やエアギャップを設けて、磁気回路を遮断する。 |
使用上の注意と事故の可能性 | 対策 |
取り付に際し可動鉄芯は保持状態で使用する。連結金具、ピン等に直接ストップ時の力が加わらない様に取付使用すべきである。連結部の破損につながる。 | ストッパーの使用あるいはスプリング等を用いる。 |
使用上の注意と事故の可能性 | 対策 |
あまり高頻度で使用すると可動鉄芯がガイドパイプ内部でおどり、表面がいたみ、吸引力、応答速度が劣化する。 | 可動鉄芯、ガイドパイプの表面処理、材質をより良いものにする。 |
使用上の注意と事故の可能性 | 対策 | |
周囲温度 | 一般に使用される温度以上の場合はソレノイドの温度上昇もあり、変化が多い。吸引力の減少、温度上昇によるコイル等の破損に注意を要する。 | ソレノイド温度上昇の低いタイプへの変更。 |
低温時には吸引力のアップ以上に機構上で負荷が多くなることに注意を要する。 | ||
湿度 | ソレノイドが高温になった後に冷えると、時に湿気を呼びやすく、絶縁不良からの事故が起こりやすい。また、ソレノイドに使用している部品はメッキ等の防錆処理はしているのが一般であるが、、錆によって可動おなくなることもある。 | 耐湿性の強いタイプを使用。 |
他物質の付着 | 油、粘着物、ゴミ等がガイドパイプと可動鉄芯間に入ると、保持力、吸引力、応答速度が悪化し、動作しないことも起こる。また、水滴等はかからないようにしなければならない。 | 直接かからないようにする。 |
酸、その他の薬品等には弱い材料も多いので注意する。 |
使用上の注意と事故の可能性 | 対策 | |
磁気 | ソレノイドによって磁気的影響のある磁気ヘッド等が近くにある場合、取付位置方向に注意を要する。 | 磁気を遮断する。 |
温度 | 温度上昇の放熱により半導体など温度に弱いものは破損することも多い。密閉したボックス内等では特に注意。 | ソレノイドの温度上昇の低いタイプ等を使用。 |
項目 | 内容 | 対策 |
温度ヒューズの溶断 | 電源回路の事故により異常通電(過大電圧、通電定格異常)になった場合、温度ヒューズはソレノイドの発煙発火防止の為に溶断します。 | ソレノイドに異常通電がかからない様に、電源回路で対策する。または、異常通電から回復後に、復旧可能なサーマルプロテクタ(サーモスタット等)を使用する。 |
温度ヒューズの断線要因例:X線CT装置による温度ヒューズの断層撮影画像 | ||
取付ねじに長すぎた物を使用した為、コイル破損 | 取付ねじが長すぎるとヨーク内側から出っ張り、コイル外装テープを突き破り、巻線が断線します。また、コイルとシャーシがねじにより短絡ショートするので、場合によっては電源回路が破損します。 | 取付ねじ締め後にコイルとねじの間に隙間ができるような長さのねじを使用する。 |
※ 1 | サージ電圧 | スイッチの開閉、回路の故障によって誘起される異常電圧の様に、短時間に急激に立ち上がる非周期的な過渡電圧です。 | ||||||||||||||||||||
※ 2 | 電食 | 電気化学的腐食の略。2 種の異なる金属が同時に電解質溶液(例:湿気による水滴が塩分を含んだ場合)に接触した時、金属間の電位差によりイオン化傾向の強い金属から弱い金属に電子が移動、電荷を失った金属原子がイオンとして溶液中に溶け出すことで金属が腐食する現象です。 | ||||||||||||||||||||
※ 3 | 吸引力 | ソレノイドに通電した時にプランジャーが吸引運動できる最大負荷荷重です。 | ||||||||||||||||||||
※ 4 | 保持力 | ソレノイドに通電した時にプランジャーが吸着状態を保っていられる最大負荷荷重のことです。 | ||||||||||||||||||||
※ 5 | ストローク | プランジャーがある位置から吸着するまでの移動量です。 | ||||||||||||||||||||
※ 6 | 保持位置 | プランジャーとプランジャーウケが吸着した位置です。 | ||||||||||||||||||||
※ 7 | 待機位置 | プランジャーが吸引動作前の待機した状態の位置です。 | ||||||||||||||||||||
※ 8 | 使用定格 | ソレノイドを指定条件下で連続・間欠又は短時間使用する時、定められた温度上昇限度を超過せず、その他の制限に外れない定格です。 | ||||||||||||||||||||
※ 9 | 残留吸着力 | ソレノイドに通電した時プランジャーが吸着した状態で通電を断った後の残留磁気による吸着力です。 | ||||||||||||||||||||
※ 10 | 磁気ショート | ソレノイドの取付部分やプランジャーの連結部分などが磁性体で構成されていますと、ソレノイドの磁気が漏れて外部に磁気回路ができます。これを磁気ショートと言います。磁気漏れによりソレノイドの吸引力が減少したり、取付部・連結部磁性材料の残留磁気により残留吸着力が増大します。 | ||||||||||||||||||||
※ 11 | 温度上昇 | ソレノイドのコイルに電流を流すと電線の抵抗により発熱します。発熱により時間とともに温度は上昇しますが、コイルの発熱量とその熱を周囲に発散する量が等しくなると温度上昇は飽和します。 | ||||||||||||||||||||
※ 12 | 耐熱クラス | 電気製品は通電すると温度上昇しますが、絶縁物の許容温度を超えた高温になると破損することになります。そこで絶縁物の許容温度により耐熱クラスを定めて、電気製品の使用最高温度がその耐熱クラスを超えない様に使用しなければなりません。 耐熱クラスはIEC 60085,JIS C 4003 による
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※ 13 | プランジャーのすり割り | |||||||||||||||||||||
※ 14 | レアショート | ソレノイドのコイルは絶縁された銅線を複数回巻いて、層(layer) が重なった状態になっています。このコイル層の間が何らかの原因で絶縁抵抗が少なくなり短絡(short) することです。 | ||||||||||||||||||||
※ 15 | 繰り返し ピーク逆電圧 |
ダイオードに順方向電流を流さない状態で、逆方向に繰り返し加えることのできる最大電圧です。 | ||||||||||||||||||||
※ 16 | 静電耐量特性 | ダイオードが静電気放電で破壊される電圧特性です。 |